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研修★認知症の行動心理症状への対応方法

2019.10.31 - []

10月29日(火)、30日(水)に「認知症の行動心理症状への対応方法」というテーマで全職員を対象とした研修が開催されました。講師は職員総合教育研修室の柳田一男室長です。

認知症とは病名ではありません。正常だった脳が脳の変性疾患や脳血管障害によって、記憶や思考などの認知機能の低下が起こり、日常生活に支障をきたしている状態のことをいいます。

認知症の症状には「中核症状」と呼ばれるものと「BPSD(行動・心理症状)」と呼ばれるものがあります。

中核症状」は脳の神経細胞が壊れることにより、直接起こる症状です。
具体的には、直前に起きたことを忘れる記憶障害、計画的に物事を実行できなくなる実行機能障害、いつ・どこがわからなくなる見当識障害、ボタンをとめられないなどの失行、道具の使い道がわからなくなる失認、物の名前がわからなくなる失語などがあります。
認知症になると誰にでも中核症状が現れます。

一方、周囲の人との関わりの中で起こる症状を「BPSD」といいます。
BPSDは「認知症の行動・心理症状」を表す英語の「Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia」の頭文字をとったものです。
妄想抑うつ興奮徘徊不眠幻覚暴言や暴力などはいずれもBPSDで、その人の置かれている環境や人間関係、性格などが影響して起こります。
そのため、BPSDは必ず起こるとは限らず、個人差が大きくなります。

環境や人間関係が良くない場合、本人のストレスが大きくなり、暴言・暴力、徘徊、妄想などに繋がることがあり、介護者の悩みの多くが中核症状よりもこのBPSDなのです。

BPSDは周囲の対応次第で改善できます。改善するためには認知症の方に対する接し方として以下のことがポイントとなります。

・認知症の方の心を理解する
認知症になると、昔は問題なくできていたことができなくなるため、最も辛い思いをするのはほかでもない認知症を発症した本人です。
こうした気持ちを理解し、共感することが大事です。本人が考えていること、感じていることなどに対して周りの人が共感することで本人も『分かってもらえた』と安心し、穏やかな気持ちになることもあります。

・生活環境や生活リズムをできるだけ変えない
認知症の方は環境の変化にとても敏感なため、身の回りに何らかの変化があると大きなストレスを感じ、精神状態が不安定になります。
BPSDを抑えるためにはなるべく環境を変えず、人間関係、生活環境、生活習慣を認知症の方のリズムやペースに合わせてあげることが大切です。

・自己肯定感をもってもらう
自己肯定感とは「自分が生きているのには意味がある」「存在する価値がある」といった感覚のことです。
本人ができることは何かを把握して、できることをお願いすると達成感や互いの信頼感に繋がります。

家族や周囲の人は、BPSDが現れたら、まず「どうしてこのような行動をとるのだろう」と本人の気持ちになって考えてみましょう。理解できないと思えることでも、本人なりの理由が必ずあります。
相手の意思を尊重し、相手としっかり向き合うことがBPSDの改善には大切なんですね。
研修で学んだことを利用者様が穏やかに過ごせるための支援に活かしてほしいと思います。

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