研修 ユマニチュード入門編
2021.1.21 - [セミナー・研修]
1月19日(火)・20日(水)、全職員を対象に、認知症ケアの技法「ユマニチュード」について研修を行いました。講師は職員総合教育研修室の柳田室長です。
入門編ということで、ユマニチュードを教わり実践してみた家族の映像を見ながらユマニチュードについての理解を深めました。
ユマニチュードとは、どのような技法でしょうか。
認知症とは、いったん正常に発達した知的機能が脳の細胞が壊れることにより低下し、日常生活や社会生活に支障をきたすようになった状態をいいます。記憶障害や判断力の低下といった中核症状と暴言・暴力、意欲低下、不眠、幻覚といった行動や心理的な周辺症状があります。中核症状は脳の細胞が壊れてしまうことで起こるため治すことはできません。ですが、周辺症状は中核症状による不安などから現れる症状なので、その不安を軽減・取り除くことで改善させることができます。不安を軽減・取り除くため、相手に「あなたを大切に思っています」と伝える技法が「ユマニチュード」です。フランスのイヴ・ジネストとロゼット・マレスコッティが考案しました。
ユマニチュードは「見る」「話す」「触れる」「立つ」の4つの柱で成り立っています。どれも毎日、介護現場で行っているように思いますが、ユマニチュードでは何がポイントなのでしょうか。
●見る
見るとは息がかかるくらいの距離で、相手と目を合わせることをいいます。やさしさや愛情を込めて見つめることで、良い絆を結ぶことができます。
●話す
話す時は顔を近づけて、大きすぎない声で話しかけます。「会えてうれしい」「素敵な笑顔ね」と前向きな言葉をかけます。
●触れる
触れ方によって、与える印象は様々です。手のひらを合わせて手をつないだり、指を組んで手をつなぐと信頼や愛情を感じますが、手首をつかまれると自由を奪われている印象を与えます。触れる時は、相手と目を合わせながら、指を開いて広い面積でゆっくりと触れ、やさしさや愛情を伝えます。
●立つ
人間は本来2本の足で立つ動物です。立つことによって肺が広がる(呼吸がしやすくなる)、血のめぐりが良くなるなど効果があります。また、寝たきりでは天井しか見えませんが、立ち上がることで視野が広がります。
例えば、寝たきりの人の口腔ケアをする際、目を合わせることなく、立ったまま見おろす姿勢で「口の中きれいにしますよ」「すぐ終わります」と話し、指先で顔を触れるのはユマニチュードの「見る」「話す」「触れる」とは違います。
ケアをする人がケアを必要とする人と良い関係を結び、相手のことを大切に思っていることを伝えることで、認知症の人の不安が穏やかで安らぎに満ちた気分へと変わっていきます。自分の存在に自信をもち、人間として尊厳を保つことができるのです。
認知症の人の理解力は、認知症の進行とともに低下していきます。ですが、愛情や怒りなどの感情に関する記憶は最期まで残るといわれています。入居者様や利用者様が「私は大切に思われている」という心地よい感情を抱きながら安心して過ごせる環境づくりに努めていきましょう。