研修★介護予防
2021.10.15 - [セミナー・研修]
10月12日(火)、13日(水)全事業所の職員を対象に介護予防をテーマとした研修を行いました。講師は職員総合教育研修室の工藤さんです。
介護予防とは「要介護状態の発生をできる限り防ぐ(遅らせる)こと、そして要介護状態にあってもその悪化をできる限り防ぐこと、さらには軽減を目指すこと」と定義されています。
なぜ、介護予防が必要かというと、
・要介護状態になる要因には、予防できるものがあるため。
・人生の中で健康上の問題を抱えて生活する期間を縮めることができるため。
・介護保険制度を持続するため、将来的に介護が必要な人口を減らすため。
・要介護状態になっても、状態を悪化させない、維持・回復できる可能性があるため。
要介護になる危険性がある状態としてフレイル、サルコペニア、ロコモティブ症候群があります。
フレイル・・・健康な状態と要介護状態の中間の段階。「虚弱」を意味し、加齢により身体的・精神的機能の低下が認められる状態。
サルコペニア・・・加齢により筋肉量が減少し、筋力や身体機能が低下している状態。
ロコモティブ症候群・・・加齢により骨・関節・筋などの運動器が衰え、立つ・歩く・座るなどの移動機能が低下している状態。
これらにより、身体機能が低下すると転倒・骨折のリスクが高まります。高齢者にとって転倒・骨折は、要介護の入口です。フレイル、サルコペニア、ロコモティブ症候群は、早期に対処すれば元の健康な状態に戻ることができます。「いす体操」「セラバンド(ゴムバンド)」「アンクルウエイト(足首におもりをつける)」「バランストレーニング(太極拳)」といった「転倒予防プログラム」に取り組むことが有効です。
「令和2年度版高齢社会白書」(内閣府)によると、介護が必要となった主な原因で多いのが認知症です。
認知症の進行予防の一つに、回想法があります。回想法は、1960年代にアメリカの精神科医、ロバート・バトラー氏が考えたものです。昔の懐かしい写真や音楽、昔使っていたなじみ深い家庭用品などを見たり、触れたりしながら昔の経験や思い出を語り合う心理療法(薬を使わない治療方法)で、グループホーム「サンタの家」でも実施されています。
今回の研修では、参加した職員で「子ども時代の遊び」をテーマに回想法をやってみました。
楽しい会話の中で、例えばゲームであれば「どの機種か」「どんなソフトが流行っていたか」「誰と一緒に遊んでいたか」など記憶を呼び起こしながら他の職員に説明していました。
利用者様・入居者様と実施する際は、相手がどのような生活を送ってきたか把握しておく必要があります。話をしながら利用者様・入居者様の記憶を引き出し、脳を活性化させるためです。認知症の場合、最近の記憶を保つことは困難ですが、昔の記憶は保持されています。昔の記憶を語ることで、精神的に安定するそうです。
利用者様・入居者様が少しでも長く豊かな時間を過ごせるように、介護予防の重要性と、人生の質を維持・向上させる取り組みについて学んだ研修でした。